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AI研究者が見た半導体産業 - キオクシアが挑んだメモリ製造へのAI活用

2019年12月18日07時32分 / 提供:マイナビニュース

2020年12月に東京で開催される予定の「半導体製造国際会議(International Symposium on Semiconductor Manufacturing:ISSM)」の準備会議ともいえる「ISSM戦略フォーラム2019」がSEMICON Japan 2019の併催イベントとして2019年12月11日に開催された。「AI活用であなたの工場をスマート化!」をメインテーマに、キオクシア(旧東芝メモリ)デジタルプロセスイノベーションセンタ技監の折原良平氏が「フラッシュメモリ事業における人工知能技術の活用」と題して基調講演を行った。

キオクシア四日市工場では、Y2製造棟から最新のY6製造棟(2019年9月竣工)に至る5つの300mm製造棟を統合した生産管理システム(Computer Integrated Manufacturing:CIM)を運用している。同システムは工場内の製造過程で生成する大量のデータを解析可能な状態で格納する巨大なデータベースを備えているが、2020年には、現在、岩手県北上市に建設中のK1製造棟も稼働するので合計6つの300mm製造棟を統合するシステムへと拡大する予定である。

毎日20億件のデータ処理をAIの活用で"見える化"

四日市工場では毎日20億件ものデータが製造装置、検査装置、自動搬送システムなどから発生しているという。この量は、もはや人間では処理できない規模であり、その因果関係も巨大で複雑なものとなっている。このため、キオクシアでは機械学習や深層学習をベースとした人工知能(AI)技術の活用を進めている。膨大なビッグデータを元に、生産性、歩留まり、信頼性向上に向けた解析にAIが行うことで、解析結果のリアルタイムな"見える化"を行っている。

キオクシア四日市工場の歩留まり管理には、統計的プロセス制御システムや、製造工程中のすべての製造装置、検査装置などの稼働状況を分析する「SPC(Statistical Process Control)」、フィードバックやフィードフォワードを駆使してプロセス制御を行う「APC(Advanced Process Control)」、半導体製造装置の出力をモニタリングして、検出した異常を統計的に分類するウェハごとの歩留まり解析システム、製造上発生するさまざまな不良を解析する「FDC(Fault Detection and Classification)」といったシステムを活用しているという。

この歩留まり管理体系にビッグデータを活用したAI処理(機械学習)を適用し、製造工程で収集したデータの相関関係を分析し原因の特定を行い、歩留まり向上につなげている。

具体例としては、

ウェハを不良の面内傾向に応じて自動分類(クラスタリング)
不良分類ごとに共通装置候補を検出(データマイニング)
現場技術者に歩留まり低下情報を迅速に提供

という仕組みがあげられる。

歩留まり解析の従来フローと機械学習導入後のフローを比較すると、機械学習の導入により歩留まり解析TATが向上しているのがわかる。

このほか、欠陥分類の自動化にも深層学習を導入することで、画像分類の精度を向上させており、これにより迅速なフィードバックが可能になったという。プロセス設計支援(プロセスの最適条件、エッチング形状のシミュレーションなど)にもAIを活用しているという。
半導体製造におけるAI活用の課題

AIの運用やデータ整備に関する課題としては、

メモリの製品サイクルに合わせてAIモデルを維持・更新・管理していく仕組みが必要(運用体制の整備、AIモデルのセキュリティ管理、モデル更新の手法確立など)
AIを導入するには、整備されたデータ基盤が必須(システムやデータベースの集約、データの品質向上、非デジタル業務のデータ化など)

があげられる。

これらを克服して、スマートファクトリ、デジタルツインを実現し、デジタル人材育成に努めると折原氏は今後の抱負を語った。
AI研究者に魅力的に映る半導体産業

折原氏は長年にわたり東芝で(半導体分野以外の家電分野などの)AI研究者として勤務したのちに今年、東芝メモリに入社したが、同氏は最後にAI研究者の立場から、「AI適用対象として見た半導体産業」の魅力について、以下のようなポイントを挙げ、半導体産業は、AI研究者にとって、魅力のある産業分野であると話を結んだ。

膨大なデータがそろっている
データインフラがかなり整備されている(比較的アクセスしやすい)
統計に精通した解析専門家が多い(AIによる分析結果に迅速なフィードバックがかけられる)
不良発生メカニズムは不明な部分が多い(発見の喜びを味わえる)
ビジネスモデルが明白である(不良解析→歩留まり向上→コスト削減→利益増大)

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