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経営の専門家や士業従事者らが紐解く「新時代の働き方」 第19回 スタートアップの「資本政策」のポイント

2019年12月16日20時15分 / 提供:マイナビニュース

テクノロジーが進化し、AIの導入などが現実のものとなった今、「働き方」が様変わりしてきています。終身雇用も崩れ始め、ライフプランに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

本連載では、法務・税務・起業コンサルタントのプロをはじめとする面々が、副業・複業、転職、起業、海外進出などをテーマに、「新時代の働き方」に関する情報をリレー形式で発信していきます。

今回は、コンサルティング会社と会計事務所の代表を務め、スタートアップを中心に会計面・資金調達面からサポートを行っている岡野貴幸氏が「資本政策」の考え方やポイントについて解説します。

前回の記事では、スタートアップの会計について書きました。今回は、スタートアップの「資本政策」について書いていきたいと思います。
○スタートアップの「資本政策」

資本政策とは、一般的に会社が事業を遂行していく上で必要な資金調達を実現するための施策をいいます。株式上場を目指す会社の資本政策は、上場後の株式の流動性を念頭に置きながら「資金調達」と「株主構成」のバランスを取り、適正な資本規模や発行済株式数へ導きます。

スタートアップ企業などにとって資本政策を考えることは、株式に関する戦略を練ることでもあり、極めて重要なことです。しかし、資本政策をあまり考えずに外部株主から資金調達している例も多くみます。誰かから資金を調達出来たとしても、それに飛びつくのではなく、先々を考えて資本政策をどのような手順で策定するのか、どのようなことを策定する必要があるのか、などといったことをじっくり考える必要があります。株の持分はやり直しがききません。
○資本政策のポイント

資本政策を検討・作成するには段階があり、資本政策だけを作成することは出来ません。「事業計画の作成→企業価値の作成→資本政策」という流れとなります。

1 .事業計画の作成
事業計画とは、事業の達成目的、達成する計画・過程を示したものです。資金調達すると言ってもどれぐらいの資金が必要なのか、ある程度見積もっておく必要があります。上場までに必要な資金は、「事業計画に基づいた資金計画」により算出され、会社の運転資金や設備投資資金などを、いつ、誰から、どのような方法で集めるかを検討します。基礎となる事業計画の精度が低いとすべての目的が達成できなくなります。

事業計画は、現場からの意見も取り入れた現実的な内容にすることが大切です。経営者の直感や夢、楽観的予測をそのまま事業計画にするべきではありません。派手な計画を作れば、経営者はストレスを感じなくてすむかもしれませんが、誤った資本政策は長期的には経営者の首をしめることになります。

2. 企業価値の作成
企業価値とは、会社全体の経済的な価値のことをいいます。言い換えれば、事業がもつ価値を金額に落とし込むことにより表現されたものです。企業価値を算定できれば、株式を発行するタイミングや発行数、そして、どの程度の資金を調達できるかを推定することが可能になります。

なぜなら、株価は、企業価値を株式数で除することにより算出されることから、一株あたりの価値が分かるようになり、ひいては、どの株主に、どのような株式を、どのくらい保有させるかという資本政策を作成することが可能になります。

3. 資本政策の作成
作成した事業計画に基づき、資金調達が資本政策上の既存株主の議決権割合にどのような影響を与えるか検討し、事業承継対策、安定株主対策、役員・従業員のインセンティブプラン等と関連付けて、いつ、誰から、どのような手法を取り入れるか決定していきます。

具体的には、株主割当増資、第三者割当増資、ストックオプション、株式分割、従業員持株会等の手法を組み合わせます。諸目標を調和よく満足させる最適解を求めてシミュレーションを何度も繰り返します。シミュレーションを実施するために、通常はエクセルなどの表計算ソフトを使います。

また、一度作成した事業計画、資本政策は定期的な見直しが必要です。時の経過につれて経営状態は変化します。経営状態の変化に応じて、将来の事業計画も変わりますし、資本政策の目標も変わってきます。そのため、資本政策は、定期的に見直す必要があるのです。

今回はスタートアップの資本政策について書きました。近頃は資金が調達しやすい環境は整ってきましたが、文中でも記載した通り、後戻りが出来ないため、正しい認識がない中で資金調達を進めてしまうと後で後悔することになります。そうならないためにしっかりと準備をすることが重要です。

○執筆者プロフィール : 岡野貴幸

ゴージュ株式会社 代表取締役、ゴージュ会計事務所 代表公認会計士
立教大学経済学部卒業。大学在学時に公認会計士試験に合格。大学卒業後、あずさ監査法人国際部に入社。上場企業の法定監査、国際会計基準導入支援業務を経験。実家は埼玉県で3代続く税理士事務所を経営しているが、ゼロから立ち上げ新しい会計事務所の形を作りたいと一念発起し、2014年に独立。岡野公認会計士事務所(現、ゴージュ会計事務所)を設立。同時にコンサルティング会社であるゴージュ株式会社を設立。成長する企業を会計面・資金調達面からサポートしたい想いから、スタートアップを中心にサービスを行っている。クラウドを駆使し徹底した経理の効率化、事業計画の作成、資金調達を得意とする。

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