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AI時代の仕事に必要な「ヒト」の力とは 第2回 新時代は新格差社会「価値創造者」と「価値消費者」

2019年12月12日12時00分 / 提供:マイナビニュース

新時代においては格差がさらに拡大すると予想されています。一例として、人材が、価値創造者(新時代のスマート蟻)と価値消費者(キリギリス)とに大きく分かれるという見方もでてきています。前者は今までよりもっと仕事をして仕事を人生の中心的な楽しみにする人であり、後者は消費を中心にして仕事は必要悪の手段としてとらえる人です。

○価値創造者と価値消費者の余暇の過ごし方

ここ1、2年、日本中でテーマ化されている働き方改革は、おそらくある程度は成功し、その結果、余暇時間が増えるでしょうが、余暇時間の使い方が価値創造者と価値消費者で大いに異なります。価値創造者は、余暇を"クリエイト力を増す時間"にあてます。そもそも余暇と仕事の区別がなくなり、仕事も遊びのようになり、結果的に長時間働き、結果的に高収入を得ます。ライフシフトの著者のリンダ・グラットンは、「レ」クリエーション(余暇)を「リ」クリエーション(再創造)に転換するような「変身能力」の重要性を説いています。

価値消費者は、働く時間は短くなりますが、給与はあがりません。むしろ残業代分だけ減ります。余暇時間は増えて、そこではもっぱら消費します。クリエイトとは関係なく消費します。といっても限られた収入の下での消費ですから、早晩、生活保護や話題のベーシックインカムのような制度のお世話になるのでしょう。もっとも、この消費がギリシア化してアートになる可能性や教養やスポーツになる可能性はあるでしょうが、それはかなり先のポスト新時代の話でしょう。

価値創造者に話を戻すと、彼らは、仕事が遊びになって、働く時間も遊びの時間も境界なく、クリエーションに没頭し自分の物語を生きる人たちです。しかも彼らの生み出すことが、他の人たちから価値あることと評価されています。一流の芸術家や一流のアスリートが先行事例です。自分の内側から面白い・楽しいという感情がわいていて、その仕事に遊びのように熱中してしまう、それもその状態に毎日コンスタントに入って、そこから生み出すことが、他人から高い価値だと評価されます。内からの充実と外からの評価が両立しています。両立状態に入るには何が必要でしょうか。価値創造者になるために何をすべきでしょうか。
○価値創造者になるには?

それにはまず、二つの声を聴いて応える練習を重ねることです。一つは自分の「外」の声、世の中の声です。世の中には、世界情勢もあれば日本の国の状態もあれば、自分が勤める会社やその顧客・市場の状態もあります。身近なところでいえば、読者である皆さんの上司や同僚や部下の声も外の声です。声というのは文字通りの声もありますが、それは文字のこともあるし、画像のこともあるし、行動のこともあります。表現全般を声で代表させています。

外の声を聴いてそれに応えることがなぜ必要かといえば、外の人たちが、あなたが作り出すものに価値を認めてくれることで初めて評価を得て、収入を得ることができるからです。

すべてが流動的なVUCAの世界にあって、顧客や上司のほんとうのニーズをつかみ、外の声に応えるには能力開発が必要です(VUCAは流動的(Volatile)、不確か(Uncertain)、複雑(Complex)、曖昧(Ambiguous)の頭文字で、一言でいえば「予測不能な状態」を指します)。それについては後ほど述べますが、ここで仮に、外の声にうまく応えて、評価されて、稼げるようになれたとしましょう。そうなれば万事OKでしょうか。

先に、「価値創造者は、自分の内側から面白い・楽しいという感情がわいていて、その仕事に遊びのように熱中してしまう、それもその状態に毎日コンスタントに入っている」と述べたことを思い出してください。仮に外からの声に応えて結果を出していっても、その仕事があなたの「内の声」に応えていない場合、それは長くは続きません。「内の声」とは、あなたの感性や持ち味や情緒などが発する信号です。価値創造者の場合、仕事が外の声とともに内の声にも応えているので内的な充実感を覚えています。

ここで一つ困ったことがあります。そのような「内の声」を聴くのはいいのですが、内の声を聴いて、自分に合ったことだけやろうとすると、それが、外の声に応えることになるとは限らないことです。外の声を聴き取り応えることも、VUCA時代においては難易度があがっています。そんな状況で、勝手に自分の感性に合わせるなどという贅沢な条件をつけたら、外の声に応えられなくなる可能性が大いにあります。外の声に応えられないと評価も収入もそのうちに激減します。そうなれば、自分の内の声を聴くなど悠長なことはいっておられません。

他方で、「外の声」を聴くことに専念して、内の声を無視すれば、価値創造者に求められる、楽しみながら密度の濃い仕事を継続するなどできなくなります。「外の声」としての高い評価・報酬は得られなくなります。

どうすれば外の声にうまく応えて稼ぐことができるような仕事ができて、しかも、その仕事はあなたの内の声にも応えているようにできるのでしょうか。仕事とはつまるところ問題解決です。同じ「仕事(例えば経理あるいは営業等)」でも、担当者の工夫で取り組む「問題」は変えることができます。問題のとらえ方には工夫の余地があります。この点に注目して3つの能力を磨くことがポイントとなります。
○仕事(問題解決)に必要な3つの力

まず、問題を発見・設定・解決する力です。まとめて発見型問題解決力といいますが、これが磨くべき第一の能力です。VUCAの新時代では、従来から重視されている問題「解決力」と合わせて、問題「発見・設定力」が重要で、二つを合わせた「発見型問題解決力」を高めることが必要です。特に、外と内の両ニーズへの感度を高めて、問題を発見・設定する力を磨きぬくことが必要です。

2つ目は、他の人たちを問題発見・設定や解決にすっと巻き込む力が求められます。自分がやってみたいことを他の人に説明してそれに協力してもらうことや、他の人がやっているところに自分がうまく関わっていくことや、他の人と一緒になってやりたいことをみつけてそれを実現していくことです。これらをまとめて「連携力」といいますがこれが第二の能力です。自分の力だけに閉じずに他人の力を活用できれば、問題発見・設定・解決力は格段に高まり、外の声と内の声に同時に応える可能性も増大します。

3つ目は、問題設定や問題解決をする際に、毎回ゼロから考えるのではなくて、定石的なことはすでに知っておくようにします。すなわち、自分がよく知っている強い分野・専門性をつくることです。そうなれば、発見型問題解決の効率や効果を抜本的に高めることができます。

興味深いのは、価値創造人材は仕事で遊ぶのですが、発見型問題解決も遊びになっていくことです。多くの遊びには「ルール」があって(ゲームのルール)、ルールの範囲で「自由」に戦うことが遊びになります。遊びとは、「客観」的なルールの下で、「主観」的な思考をめぐらせることで成立します。外の声を客観、内の声を主観ととらえれば、両声の間でも遊びが成立します。発見型の問題解決はまさにこの中間の遊びを創り出す営みです。遊びですから、第二の能力が求める他者を巻き込むのも、「一緒に遊ぼうよ」感覚になります。第三の能力が求める学習も、遊びにおける上達のようにそれ自体が楽しくなります。遊びの境地で仕事をするのが価値創造者です。

ところで、3つの能力を伸ばすためには、シンプルな呪文があります。次回以降は呪文についてお話します。

○著者:キャメル・ヤマモト
山本成一(やまもと・せいいち)。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員。東京大学法学部卒業後、外務省に入省。エジプトと英国留学、サウジアラビア駐在等を経て、人材・組織コンサルタントに転身。外資系コンサルティング企業2社を経て現職。企業組織・人材のグローバル化・デジタル化プロジェクトを手がけている。並行して、ビジネスブレークスルー大学と東京工業大学大学院でリーダーシップ論の講義を担当している。近著に、『破壊的新時代の独習力』(日本経済新聞出版社)などがある

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