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自然言語処理×AIで何ができるか?仕組みと活用事例 第3回 事例で見る「自然言語×AI」(1) - 離職の防止と不正の発見

2019年08月21日05時00分 / 提供:マイナビニュース

前回は私たちの身近にある自然言語処理を使ったサービスと技術について、またそれがビジネスの場ではどのように使われているのか、例を挙げながら自然言語処理でできることを解説しました。

「自然言語処理×AI」は、さまざまなビジネスシーンで使われ始めていますが、今回は実際にどのように活用されているのか「離職の防止」と「不正の発見」を例に挙げ、その仕組みを具体的に解説していきます。
○離職の防止

働き方改革が注目され、ここ最近盛り上がりを見せているHRテックですが「自然言語処理 x AI」は社員の離職防止にも役立っています。

せっかく採用した大切な人材を定着させ、活躍できるように支援するのも、人事の重要な役割です。離職を考えている社員を早い段階で把握し、フォローするために人事が満足度調査や面談を行う企業も増えています。ただ、アンケートの点数だけでは状況を正確に把握できないほか、面談をしても社員が表面上はやる気を見せていても、本音を捉えられないことがあります。

株式会社ソラストでは、人事が保有する社員の面談記録やアンケートの自由記述の内容など「定性データ」をAIで解析することで、隠れた離職の予兆検知に役立てています。

自然言語処理のアプローチでは、文章の類似度を探すために、教師データを与えて探させますが、ソラストでは過去に退職してしまった人の面談記録を教師データとしてAIに学習させることで、面談記録の中から教師データに類似したものを抽出させています。

すると、以下のように、一見、5段階評価の満足度も高く、頑張っていこうという意思が感じられるようなコメントをしていた社員も、実は後のフォロー面談で退職の可能性があったことが判明したケースもあります。

このように、自然言語で書かれた文章をAIで解析することで、リスクの予兆をより早く正確に検知し、人が適切な対応を行うことができるようになります。
○不正の発見

次に、私たちが日々ビジネスでも活用しているeメールの内容を解析する事例を紹介します。まずは、以下の2つのメールを見てみましょう。

これらは、競合の企業間で価格や受注の調整を行う「談合(カルテル)」に関するメールの例です。メールの内容を解析し、企業の不正を発見することが実際に行われています。

この2件のメール、どちらも「飲み」に誘っている内容で、ぱっと見ただけでは、両方のメールに大きな違いはないように見えます。しかし、実際は左側のメールは問題がなく、右側のメールは不正を示唆したものになります。

AIはどうやって、この2つを区別し、不正を発見しているのでしょう?あなたが捜査官になったつもりで考えてみてください。
○キーワード検索との違い

もし当事者同士が「談合」や「カルテル」といった単語をメールで使っていたら、「キーワード検索」でこれらの単語をピンポイントに探してくれば、不正を発見できるかもしれません。
ただ、談合を目論んでいるからと言って、「談合」などというストレートな表現を使っていることはまずありません。

そこで、「談合」の話は飲食の席で行われやすいのではないか、「飲み」や「居酒屋」といった単語が出てきたら怪しいのではないか、と仮説を立ててみます。実際の新聞記事を見てみると、確かにこんな見出しがありました(一部を加工しています)。

では、「飲み」や「居酒屋」の単語を追加して「キーワード検索」をしてみるとします。すると今度は、その単語が入った不正ではない普通のメールまで引っかかってしまいます。これでは数が多すぎて、チェックするのも大変です。

一方で「キーワード検索」のように単語で区別するのではなく、文脈を区別して見つけ出す方法もあります。例えば、実際過去に談合で使われたメールには「見つけたい」、問題のない普通のメールには「見つけなくてよい」というマークをつけてAIに学習させます。

AIには、「見つけたい」方にある文章は重要度を高く、「見つけなくてよい」方もしくは両方にある文章は重要度を低くする、という計算式(アルゴリズム)を与えて、解析を行ってみます。先程のメールで、実際に重要度の係数を出してみると、こんな違いが出てきました。

普通のメールと不正示唆メールの両方に「飲み」と「居酒屋」があり、不正示唆の方だけに「個室」があります。こういった組み合わせがいくつもあり、解析対象の何千、何万の膨大なメールで一気に解析できるのがAIの強みです。この観点で学習し、解析したメールを改めて見てみましょう。

すると、次のような違いに気づくと思います。右側のメールには「お世話になってます。」という文章があり、社外の人に送っていることがわかります。また「いい個室の居酒屋」ということは、個室で話したいようなことがある、「前回から時間も経っていますし」ということは、定期的に会っている、といったようなことが推測されます。ベテランの捜査官のように、こういった文脈に注目して不正の疑いのあるメールを抽出することができます。

こうして、まるで文脈を読んでいるかのように、AIが違いを見つけ、普通のメールには低い点数を、不正示唆のメールには高い点数をつけることができるのです。

調査官は点数の高いメールから見ていけば、談合につながる怪しい行動を発見しやすくなります。次回も引き続き「自然言語処理 x AI」のビジネスの場での活用事例を紹介していきます。

著者紹介

FRONTEO行動情報科学研究所

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