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スマートスピーカーアプリ開発 虎の巻 第2回 音声アプリケーションの企画

2019年02月20日09時00分 / 提供:マイナビニュース

今回は音声アプリケーションの企画立案方法を、手順に沿って説明します。基本的なステップとしては一般的な企画立案と変わらず、市場調査を行い、アイデアを出し、そのアイデアを検証しながらコンセプトや要件を固める、というものです。ただ要件を固める際には、Voice User Interface(VUI)や各音声プラットフォーム(音声PF)の特性を踏まえる必要があります。
○1. 自分たちの目的を確認する

どんなアイデアを出したいのか、何のために音声アプリケーションを開発したいのかなど、理由を最初に明確にしておきましょう。調査するにも、アイデア出しをするにも、その目的がブレていると効率が悪いためです。特にチームでやるなら、まずその認識を擦り合わせるべきです。音声アプリケーションを開発する目的の例は下記となります。

話題になり、ブランドの認知促進につなげたい
自社製品やサービスを音声で操作できるようにしたい
すでに困っている特定の人の問題を解決したい
何でもいいからスマートスピーカー向けアプリケーションを作ってみたい

○2. ユーザーを知る(市場調査)

(1)定量的なレポートを把握
スマートスピーカーの想定出荷台数やアンケートをもとにした市場調査結果はウェブ上でも、さまざまな記事が出ているため、ざっと把握しましょう。前回も私たちの調査結果をご紹介しました。

(2)定性調査(インタビューなど)
(1)のような俯瞰的な情報だけのインプットではいいアイデアが出てこないことが多いです。ユーザーが何を求めているか洞察を得るには、ユーザーインタビューなどでの定性調査が向いています。

私たちの場合は、アイデアを出す初期段階でスマートスピーカーを持っている社員にインタビューし、その様子をプロジェクトメンバー全員で見学するようにしました。下図は最初に実施したインタビュー結果のまとめです。

このときは、使い方の傾向から「とにかく家電操作(声で照明やテレビを制御することだけに使っている人)」「情報取得メイン(家電操作はせずに天気やニュースを聞いている人)」、そして両方の使い方をする「達人」という3グループに整理できました。

調査により、その後アイデアを検討するときに「これは『情報取得』タイプの人に向けたアイデアだね」「『達人』タイプならこれをルーチン機能ですでに使ってそうじゃない?」といった会話を、チーム内でできるようになります。ユーザーとなる人が、どんなことに価値を感じているか、どんなことに困っているか、自分たちの中にできるだけ生々しく思い描けるようにすることが大切です。

(3)自分で使う
市場調査として一番手っ取り早いのは、自分が使ってみることです。家でスマートスピーカーを使い、各音声PFのアプリケーションマーケットで人気のものを試してみましょう。
○3. アイデアを出す

材料がそろったところでアイデア出しをします。アイデア出しの方法について参考にできるものはたくさんあると思いますので触れませんが、ここではスマートスピーカー向け音声アプリケーションのアイデアを出すとき、またはアイデアを選ぶときに私が大切だと思うポイントを説明します。

それは(1)「ドメイン」を絞ること、(2)デフォルトで提供されている「ドメイン」を避けることです。

「ドメイン」とは、扱う話題の範囲のこと、音声アプリケーションで提供する機能のことです。下図はドメインを「タスク遂行」と「コミュニケーション」の軸で整理したものです。右側が、何かやってほしいことがあるタスク遂行型のドメイン。左側が、明確な目的がないか、または会話すること自体が目的のコミュニケーション型のドメインとなります。

(1)ドメインを絞る
どの位置を狙うにしても、広い範囲のドメインはおすすめしません。ユーザーからすると、どんなことをやってくれるアプリケーションなのか分からず、呼び出しづらいためです(将来的に、すべての音声PFで呼び出し名なしに音声アプリケーションの該当機能を呼び出せるようになれば解決するかもしれませんが、現状ではあまりメリットがないと思います)。

たとえば、Alexaスキル/Google アクションとして提供している「Yahoo!路線」は[生活系情報]の「電車の運行情報」にドメインを絞っています。電車が遅れていないか確かめるには「Yahoo!路線」を呼び出せばいいのだな、といったん覚えてしまえば、指名されやすくなります。

(2)デフォルト提供済みドメインを避ける
また、デフォルト音声アプリケーション(ビルトイン機能)ですでに提供されているドメインは、基本的には避けた方がいいでしょう。デフォルトの方が呼び出しやすく、強力な競争相手となってしまうためです。
○4. 音声プラットフォームを選ぶ

複数の音声PFにまたがって開発する手法については今後解説する予定ですが、アイデアによっては、ある音声PFでしか実現できないということもあります。以下に、企画検討の上で気にしておきたい差異を挙げます。このほかにもさまざまな違いがありますが、どの音声PFも次々に新しい機能が追加されていくため、公式ドキュメントで最新情報を確認しましょう。

音声アプリケーションの種類

第1回の音声プラットフォーム比較でもまとめましたが、音声PFによって提供されている音声アプリケーションの種類は異なります。ハードウェアを操作する「スマートホーム」タイプは特殊なので、選択肢はほぼ「カスタム」タイプか「フラッシュブリーフィング」タイプとなります。

カスタムタイプ
最も一般的なサードパーティ音声アプリケーションの種類で、呼び出し名や意図判定のルールを開発者自身で定義できます。Alexaスキル、Google アクション、Clovaスキルいずれも対応しています。
フラッシュブリーフィングタイプ
2019年2月現在、Clovaでは相当する種類がなく、Google アシスタントで該当する「ダイレクトアクション」は広く開放されていません。そのため、このタイプを気軽に提供したいならAlexaスキルを選ぶことになるでしょう。Alexaのフラッシュブリーフィングスキルは「アレクサ、ニュースを教えて」といった発話に対して、用意したRSSやJSONなどのフィード読み上げや音声ファイル再生できるというものです。自由度は高くないものの、比較的簡易に開発でき、一度登録してもらえば「呼び出し」のハードルが低くなるメリットがあります。なお、Google アシスタントの場合、日本語未対応ではありますが、ニュースやレシピなどのコンテンツから自動的にアクションを生成するしくみが公開されています(Content-based Actions)。
スマートホームタイプ
自社のハードウェア(照明や家電など)を声で操作するための音声アプリケーション種類。Alexaスキル、Google アクション、Clovaスキルいずれも対応していますが、ハードウェアが前提となってしまうので、この連載では扱いません。

画面付きデバイス(スマートディスプレイ)

2019年2月現在、画面付きのデバイスが国内で販売されているのはAmazon Echoシリーズのみのため、今すぐマルチモーダルな音声アプリケーション、スマートディスプレイ向けのアプリケーションを作りたいならAlexaスキルを選ぶことになるでしょう(今後、画面付き端末対応を解説予定です)。一方、搭載端末という点では、Google アシスタントはスマートフォンの「Google アシスタント」アプリでも使えるという強みがあります。

暗黙的な呼び出し

音声アプリケーション公開後の悩みに、どうやったらそのアプリケーションを知ってもらえるかという問題がありますが、Google アシスタントの「暗黙的な呼び出し(Implicit Invocation)」対応は自力でできる誘導施策として効果が高いと思います。

暗黙的な呼び出しというのは、たとえばYahoo!路線アクションの場合「OK Google,ヤフー路線で山手線の運行情報」のように明示的にアクション名を含めず「OK Google,山手線の運行情報は?」で呼び出せるようになるというものです。

この機能は現在、Google アシスタントのみ対応しています(Alexaもベータ版でCanFulfillIntentRequest機能が用意されていますので、将来対応されるかもしれません)。
○5. 出てきたアイデアを検証する

さて、いくつかアイデアができ、どのPFのどの音声アプリケーション種類にするかまとめたら、そのアイデアがどのくらい刺さりそうか、ユーザーになりそうな人にインタビューして検証します。

私たちの場合、この時点ではまだ主要なやりとり(いわゆる「ハッピーパス」)だけを記載したコンセプト図を用意して、評価してもらうことが多いです。

必要であれば何度かコンセプトを追加・改変し、「このアイデアなら、こんなユーザーのこのニーズを捉えられる」と思えたアイデアが出たら、VUI設計を進めていきます。

○まとめ

今回は、音声アプリケーションの企画プロセスを説明しました。次回からはVUI設計に入っていきます。

著者紹介

Yahoo! JAPAN スキルプロジェクトチーム
データ&サイエンスソリューション統括本部のスマートデバイス本部に所属するプロジェクトチーム。スマートデバイス本部は、IoTや今回のテーマである音声アプリケーション開発など、ちょっとだけ未来の技術に挑戦する部署。

今回の執筆者:藤井 美晴(ふじい みはる)/企画・VUIデザイナー

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