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ドローンとTensorFlow、GCPで除染除去物保護シート点検を効率化

2019年01月25日05時00分 / 提供:マイナビニュース

●自動化を軸に据えるエアロセンス
Googleは1月24日、都内でGoogle Cloud製品や活用事例を紹介する「“ほぼ月”Google Cloud メディアセミナー」を開催した。
○自社のクラウドサービスにGCPを活用

今回、産業用ドローンとクラウドサービスを組み合わせた測量・点検サービスを展開するエアロセンスの福島県南相馬市における除染除去物保護シートの点検業務の安全・効率化について紹介された。

まず、エアロセンス 取締役 COOの嶋田悟氏は「われわれは『自動化』を軸に据えて、事業を展開している」と述べた。

同社では、自律飛行型ドローン「AEROBO(エアロボ)」、ドローン測量を誰でも簡単にかつ正確なアウトプットを出すため、RTK精度のGPS機能を搭載した対空標識「AEROBOマーカー」、ドローンに関するデータをクラウド上で管理し、測量・点検など産業分野に対してデータ処理・解析を行うサービス「AEROBOクラウド」などを提供している。

AEROBOクラウドについて、エアロセンス クラウドサービス部 シニアソフトウェアアーキテクトの菱沼倫彦氏は「飛行データの管理と可視化、ドローン測量、マーカー基準点測量、シート点検などアプリケーション機能を備え、Google Cloud Platform(GCP)を活用している」と説明。

同サービスの基本的なワークフローは、1)クラウド上に空撮画像データをアップロードして自動処理、2)クラウド上でフォトグラメトリ(3次元の物体を複数の観測地点から撮影し、そこから得た2次元画像から視差情報を解析して寸法・形状を求める写真測量)計算により、3次元モデルデータとオルソ画像(写真上の像の位置ズレをなくし、空中写真を地図と同じく真上から見たような傾きのない正しい大きさと位置に表示される画像に変換したもの)を生成し、オルソ画像からWeb地図を生成する。

3次元モデルの作成は、オーバーラップを持たせた写真撮影で地物を多様な角度から撮影し、写真間で同じ地点の特徴点を抽出した上で空中三角測量の原理で3次元復元するという。
○安全性と効率化が求められる保護シートの点検業務

2011年の東日本大震災以降、南相馬市では除染事業として除染および除去土壌の管理などを実施しており、除去物は通気性防水シートに覆われ、市内に設置された仮置場160カ所で保管されている。

現在、仮置場の面積は1.6平方km(1区画は1万平方m)に及ぶほか、シートまでの高さは3mあり、目視で確認することができず、保護シートの経年劣化や害獣被害による損傷を素早く検出するためにも、定期的な点検と業務の安全性向上、効率化が求められているという。

このような状況下において、同社は2015年12月に実際の現場でドローンを用いたデモ(1区画の撮影に10~20分程度、撮影枚数100~500枚)を行い、クラウド上で1枚の全景画像を生成することで高解像度画像を利用し、目視で損傷を発見できることを確認した。

ドローン測量は、対象となる現場にマーカー(対空標識)を設置し、手動で測量してマーカーの位置を計測すると同時にマーカーが含まれる画像を空撮。その後、空撮画像とマーカーで測量した位置座標を写真測量用解析ソフトウェアを用いて手動で入力し、点群モデルが生成され、現場の状況を把握する。

ここで肝となるのがマーカーで、従来はマーカーを活用するには各マーカーを人手により測量機器で計測していたほか、解析ソフトウェア上で空撮画像を1枚ずつ開き、マーカーを探し出してクリック、という作業を繰り返すため手間がかかり、ドローンで現場を空撮するだけ、とはいかなかったという。

●TensorFlowで空撮画像を識別
○オペレーターの作業時間を従来比60%削減

そこで、同社はスタティック測位と同等精度のGPS測量機能を内蔵したAEROBOマーカーを開発し、クラウド上で空撮画像中のマーカーを自動検出することで、マーカー検知による全自動測量を可能とした。

マーカーの検出処理は、空撮画像からオープンソースのコンピュータービジョンライブラリであるOpenCVで候補を抽出した上で、機械学習用のオープンソースライブラリであるTensorFlowで識別している。

菱沼氏は、マーカー検知の全自動測量の開発に関して「機械学習を活用することで、これまで手動で行っていた作業の支援を行い、全自動ドローン測量を実現したことに加え、われわれとしても検知技術のベースとしてAI開発のノウハウを獲得できた」と、振り返る。

そして、2016年5月からはドローン点検運用開始と並行してシート損傷カ所の学習データ集めを開始し、自動検知学習の教師データ取得を目的に目視検出結果を蓄積。

2017年8月にはデータも蓄積されてきたため損傷カ所検出処理の開発を開始した。基本的にはシート全体のオルソ画像を作成し、ディープラーニングで損傷カ所を検出する流れだが、全体を検出した場合に草地など必要のない部分も検出してしまうため、シートから高さ3m地点をマスク画像とすることで、効率的に検出できるようにした。

その後、2017年11月にシート点検機能の提供を開始し、シートの損傷カ所の候補をAEROBOクラウドからダウンロードでき、一括表示によりオペレーターの確認作業を補助することを可能とした。

菱沼氏は「AEROBOマーカーの検知技術をベースにAI開発のノウハウを活用したことでデータの蓄積が可能となり、損傷検知サーバを短期間で開発することができた。また、オペレーターの作業時間を従来比で60%削減できた」と、語気を強めていた。
○AEROBOマーカーを利用した基準点測量にも注力

ただ、ユーザーからは「ドローン測量の過程で測量されるマーカー測量の精度が知りたい」「3Dモデルの座標が合わないため現場図面の基準点座標に合わせてほしい」「AEROBOマーカーで基準点測量はできないか?」などの要望があったという。

このような状況を踏まえ、同社では観測網作成、基線解析、閉合差の点検、網平均計算をはじめドローン測量・マーカー測量の精度管理機能の強化や、現場に設置している複数の基準点を利用可能とする座標に合わせたドローン測量・3Dモデルの提供、帳票出力などAEROBOマーカーによる基準点測量のサポートを行うことを目指し、これらの技術の開発を決定。

これにより、クラウドの処理を増強したことに加え、計測地点にマーカーをおいてログをクラウドにアップロードするだけで観測機関の抽出、電子基準点の検索、多角網の生成、基線解析、三次元網平均計算、帳票出力、現場基準点を利用した基準点測量と複数セッションによる三次元網計算も可能としている。

嶋田氏は「クラウドが単にヴァーチャルな世界だけでなく、リアルな物体を持つハードウェアとセットになることでクラウドが活かされる」と話しており、菱沼氏は「将来的にはドローンとマーカー、クラウドを活用して、多様な産業用のソリューションの自動化を目指す」と今後の展望を述べていた。

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